【侍魂レポ】7 MEN 侍、初単独ライブで見せた「バンド」としての覚悟

注釈

本項はバンドのライブレポを読むのが好きな侍担による自己満文章です。個人的に女性誌のジャニーズライブレポが全然好きじゃなく、せっかくZeppでのライブだからということで書きました。基本は手元のメモを参考にしていますがMCの書き起こしなどはTwitterのレポを参考にしている部分もあります。7 MEN 侍と、音楽ナ○リーに敬意を込めて。

※noteで公開してたものの移植記事です。



以下ネタバレしかないです!!!!!!!!!!押忍!!!!!!!!!

押忍!



 10月11日、7 MEN 侍初の単独ライブがZepp Diver Cityよりスタートした。本稿では、その初日公演をレポートする。

 本公演が発表されたのは8月18日。ファンはもちろん、メンバーにとってもサプライズとなったこの発表から2ヶ月足らずで、舞台出演と並行しながら準備を進めることとなった。メンバーの矢花黎(Ba.)は5日前の時点で、自身のブログで「進捗4割」と話しており、相当ギリギリの状態で準備が進んでいたことが推測される。それでも、たまたま開いたこの日のZepp Diver Cityを7 MEN 侍に任せてくれた事はパフォーマンスへの信頼を置いてくれた人の存在さえ感じる。そして7 MEN 侍のメンバーはその期待に見事に応えたと断言できるステージを見せた。

 ステージ上に張られた紗幕に光が投影され、SEが鳴り響くと、中村嶺亜(Gt,Vo)のシャウトと共に一斉に幕が下りる。1曲目はタッキー&翼の「SAMURAI」。オリジナルには無い本髙克樹(Key.)のラップと共に一斉にペンライトが揺れる。おなじみの「1,2,3,4,5,6,サムライ!」のコールに合わせて振られるペンライトから、声は出せないものの演者と観客が一体になって彼らの奏でる音楽に夢中になっていた。続いてオリジナル曲の「シャウト」、KAT-TUNの「Rokin」と続き、間奏で本髙が「エクササイズの時間ですよ〜」と観客を煽り、メンバーと一体になってジャンプをする場面も。続いて中村が「7 MEN 侍からの愛の歌」と曲振りをして披露されたのは関ジャニ∞の「ローリング・コースター」。落ちサビ〈君と会ってUp↑ Down↓読み取れない 言葉 態度天気予報くらいに曖昧 戦略もないまさに心はローリング・コースター〉(原曲・錦戸パート)を歌うのは今野大輝(Gt.)。ハードな曲が続いた中で、この楽曲をより一層爽やかなアイドルソングに仕上げる。

 そんなローリング・コースターから一転して矢花のアイドルにしては重すぎるベースのソロが会場に響く。続いて佐々木大光(Dr.)のドラム、菅田琳寧(Gt,Sax)のサックス、中村、今野のギターと続く。前回の7 MEN 侍ライブ、「サマステ」で披露された矢花によるオリジナルインスト曲の「Banana」だ。基本はサマステで披露され、その後「再出荷」として動画サイトに投稿されたものと同じ構成ではあるが、ベースに関しては大幅にアレンジされ、「Banana1.5」というような形での披露となった。本楽曲については矢花がブログで充分すぎるほど語っているが、厚すぎるベースに乗る歌謡的なリフ、ジャジーな雰囲気も感じるソロ、手数の多いドラムとメンバーそれぞれの演奏スキルが際立つ。

  一度楽器を置き、一人一人の挨拶が入り、サイレンが鳴り響く。2曲目のオリジナル曲「サイレン」だ。ここまでバンド形態での曲が続いたが、ここからはダンス曲が入り、バンドだけでは無い、ダンスでの7 MEN 侍を魅せるパートとなる。続いて会場がカラフルな電飾で照らされ「MY MP3」(赤西仁)と続く。先ほどまで感情を爆発させてライブをしていたとは思えないほど無機質なダンスで会場を魅了する。すると「7 MEN 侍〜!!!」の声かけと共にS.I.X.が披露される。こちらはSixTONESのライブ定番曲となっており、イントロが流れた瞬間に観客からの歓喜の声が漏れる。

 佐々木がドラムの位置に戻ると続いて披露されたのは「CALL」。同じくバンドとダンスをメインに活躍活動していたLove-Tune(現7ORDER)の人気曲で、本公演の直前に少年倶楽部で7 MEN 侍のカバーを披露していたこともあり観客のテンションは最高潮に。

 全力のステージにメンバーも観客もヘロヘロになったところでMCタイムに突入。矢花が「ジャニーズJr.は先輩のバックで東京ドームに立てることはあるけれどZeepに立てることはなかなか無い」と話す。確かに、ジャニーズJr.での単独ライブが珍しいことではなくなった昨今でもZeepに立つことはかなり珍しく、Love-Tuneが2017年にZeep Diver City、Lilかんさい・Aぇ!Groupが2020年にZeep namba、去年ふぉ〜ゆ〜が演劇を混ぜて公演を行なっている程度で、定番の会場では決して無い。そんな状況でこの会場に立てていることへのありがたみを噛み締めているように見えた。

 ゆるい雰囲気で「I LAND TV」を撮影したり、最近の個人仕事について報告するパートが続き、さっきまでのかっこいい姿とは打って変わっていつもYouTubeなどで見ている7 MEN 侍の姿で笑いをとる場面も。

 続いて披露されたのはV6の「TAKE ME HIGHER」。グループ結成初期にスケートボードと共に披露していた楽曲だ。前日菅田のブログで匂わせていた「懐かしい曲」はこれのことかもしれない。途中佐々木が段ボールで作ったギターを壊すパフォーマンスも挟み、観客と一体になって振り付けを踊る、MCの雰囲気を引き継ぐような楽曲となった。

 メンバーが一度捌けると残った今野と矢花にスポットライトが当たり、今野が「僕らの街で」を歌い始める。小田和正提供楽曲で、一歩手が届かない相手を想うラブソングを大人っぽく歌い上げる。ギターは矢花が弾いており、途中から今野にハモる形で歌唱にも参加し、矢花と今野という演奏面・歌唱面でグループを支える2人が表現する世界観にどっぷりと浸る。

 続いて登場したのは、中村と佐々木。グループの最年長と最年少の2人だ。披露された楽曲はKAT-TUN中丸のソロ曲「Step By Step」。衣装の一部が光るようになっており、2人のダンスが際立つようになっている。YouTube企画内で中丸のダンスについて佐々木が「中丸くんのダンスマジで上手い」と語っていた事を思い出させる選曲だ。MCでも語られれていたが、ジャニーズJr.横断企画「+81チャンネル」にて中村と佐々木のダンスでの表現にスポットライトが当たっていたタイミングでの披露に観客も満足げだ。

一際大きな歓声を浴びていたのは本髙・菅田の「I got the flow」。2人とも大ぶりのファーアウターを身にまとい、ステージを左右に練り歩く。早稲田大学の大学院に在籍中の本髙と先日の芸能人ミニマラソンで1位を獲得した菅田という、グループの頭脳と力を担当する2人による挑発的なステージになっていた。

続いて佐々木がソロダンスを披露すると他のメンバーにもスポットライトが当たり、矢花のベースに合わせてダンスを披露する。途中ドラムソロや菅田のアクロバットなども挟み、ダンス・演奏・アクロバットとグループの魅力をぎゅっと詰め込んだパートとなった。

インストからシームレスにHey!Say!JUMPの「Beat Line」、V6・20Century坂本の「Shelter」と続く。

続けて披露されたのは「シンデレラガール」。グループ初期からバンド形態で披露してきた曲だ。途中矢花が歌割りを飛ばし思わず「ごめんなさい!」と謝る場面があったが、そこも含めて生バンドの良さだろう。途中中村が「一生愛し合っていこうね」と叫ぶ場面もあり、バンドでありながらアイドル性をちょうどいいバランスで表現する。

https://youtu.be/OmGqNzj4nzU


SEを挟み、グループにとって初めてのオリジナル曲「サムダマ」へと続く。バンドという形式上ステージを移動できないメンバーに変わるように中村がマイクを手にステージを縦横無尽に走り回る。「もっともっと!」と観客を煽る姿は本当に1曲前に「愛し合っていこうね」と話してくれた人と同一人物なのか疑いたくなる程だが、この幅の広さこそが7 MEN 侍の魅力だろう。
間髪入れずに披露されたのはKAT-TUN「SHE SAID…」。KAT-TUNファーストアルバム収録曲の本楽曲は、当時のKAT-TUNが持つ誰も寄せ付けないカリスマ性を象徴するような楽曲であるが、7 MEN 侍がバンド形態でギターソロを含めた状態で披露することで、誰にも止められない勢いはそのままにオリジナリティもあるような楽曲に仕上がった。TOKIOの「T2」では本髙がショルダーキーボードに持ち替えてステージ前方で観客を煽る。

ここで本編がひと段落し、佐々木から順にここまで支えてきたスタッフやファンへの感謝を述べる。最後に本髙は、「メンバーや関わってくれるすべての皆さんが僕を誇りに思ってくれるように頑張りたい」と意気込みを話し、続いて披露された楽曲はSixTONESの「NEW WORLD」。

 何度も支えあってきた仲間の大切さを語るこの楽曲のラップパートで〈叶わない夢など俺らには無い〉と歌うパートがあるが、このパートこそが7 MEN 侍の2022年を象徴するパートのように思える。わざわざ言及する話では無いがこの夏にあった本髙に関するネガティブな報道に彼のファンだけではなくメンバー、メンバーのファンが傷付いたことは事実だろう。しかし、彼だけでなくメンバーから本件について釈明や謝罪をする機会を与えてもらえないまま、何度もステージに立たされてきていた。今回も彼らの口から直接的なメッセージはないものの、この「NEW WORLD」からは「これからもこのメンバーで支えあって頑張る」という決意表明のようなものを感じることができた。実際、メンバーがどこまで選曲や曲順に関与しているのかわからない以上、ただの深読みでしか無いが、照明がMCの順番を間違えるハプニングがありながらも、本髙のMCを最後に持ってきた事、その後の曲が「NEW WORLD」である事になんの意味もないと思う事の方が難しい。メンバーそれぞれの「ありがとう」の言葉で一度捌け、本編は終了する。

 その後アンコールでは「Hello」を自由に歌い、「このまま終わらせられない!」と言うかのようにメンバーが残ると中村が「JUMBOしちゃうか!」ともう一曲披露することを提案。矢花が「じゃあドラム叩いちゃおう〜」とドラム台に向かうと中村が「じゃあベース弾こうかな」と矢花が弾いていたベースを手に取る。すると必然的に歌うのはグループ最年少の佐々木。「初日に俺が歌って怒られないかな…」とあたふたしているとすかさず最年長の中村が「怒られるからイヤモニを取った方がいい」とアドバイスをする。どうやら元々中村が歌う予定だったのに、急遽佐々木が歌うことになったのでスタッフからの指示が来ていたようだが「じゃあ取っちゃおう」とイヤモニを取り佐々木がボーカルでのグループの定番曲「JUMBO」が披露される。この自由さと破天荒さがこのグループの一番の良さであり、その破天荒さを支える器用さも感じられる一幕だった。歌詞がわからないという佐々木は一部歌えない部分もありつつ、中村と積極的に煽り客席はこの日一番の盛り上がりを見せ、最後は佐々木の全身全霊の一本締めで公演は終了した。

冒頭に書いた通りかなり急ピッチでの準備となった本公演。しかし、蓋を開けてみると「SHE SAID…」や「NEW WORLD」など、新規でバンドアレンジがされている楽曲も含み、ユニット曲、ダンス曲も盛りだくさんの公演となった。

 映像で見返さないとなんとも言えないが、何度も披露している曲についても細かいところでアレンジが加わっていたり、ソロパートが追加されたりと細かい変更が出ているように感じた。ライブバージョンだけ存在するギターソロやイントロというものはロックバンドのライブにはよくあることだが、それをジャニーズJr.がやってのけるのは、彼らが「ただ渡された楽譜を弾く」アイドルバンドではなく「自分のやりたい音楽を表現する」というバンドマンとしての自覚があるからではないだろうか。メンバーがどこまで選曲やアレンジに関与しているのかはわからないが、矢花が事前に公開していた作業の映像を見るに、矢花を中心にメンバーもアレンジに関与してきているように見える。

 全体を通して感じたのはサウンドの核となる矢花がベーシストであることがグループにとっては大きいというものだ。彼は加入時ギターを担当していたが、その後話し合いを経てベースを担当するに至った訳だが、幼い頃からバンドに触れてきて現役音大生の彼のスキルは他のメンバーと比べるとどうしても顕著なものになる。いわばサウンドの主砲となる「矢花黎」をぱっと聴いて目立つギターではなく、楽曲を支えるベースとして配置することで、楽曲全体のクオリティが底上げされているように感じた。
音楽的に「バンド」にやる気を感じることができた一方で、ダンス曲もドラム台が置かれて狭いステージではあるものの決して妥協することのないパフォーマンスを披露し、「バンドだけど、アイドル」「アイドルだけど、バンド」という難しいバランスについて「どちらも全力を出す」というシンプルな回答を食らったような、そんな初の単独公演となっていた。(終)

※バンドとして、7 MEN 侍に敬意を込めてこういう書き方しましたけど次回以降は普通にオタクの文体でオタク文学に勤しむのでよろしく頼むぜ!音楽ナ◯リーの方、ライブレポート書かせてくださ〜〜〜い()